![]() |
新型コロナウイルス(COVID-19)は、今後の国内外のM&Aのプロセス、契約条件に大きな影響を及ぼすことが想定されます。本ニュースレターでは、クロスボーダー案件を含めたM&Aを念頭に、今後のM&A契約の交渉におけるエッセンスについて考察いたします。 なお、各国において概ね同様の影響が想定されますが、ロシアの法律事務所のALRUDより、COVID-19のロシアにおけるM&Aに対する影響について情報を提供いただいていますのでご参考までに共有いたします。(詳細はこちら) |
新型コロナウイルス(COVID-19)のM&Aのプロセス・契約への影響 1._デュー・ディリジェンス及び表明保証 COVID-19の影響下における対象会社の買収にあたっては、少なくとも以下の項目について、対象会社の慎重なデュー・ディリジェンスが必要となることが想定されます。
M&A契約において、買主は売主に対し、上記の項目に関して買収後も対象事業に影響がないことに関する表明保証を求めることが考えられますが、売主としては、買主の認識や事象の重大性(knowledge/materiality qualifier)により、表明保証の対象の限定をより一層強く求めることが想定されます。 2._譲渡対価(価格調整メカニズムの傾向) M&Aにおいて売主の交渉力が強い場合には、締結日より前の財務書類を基準として譲渡価格を固定するLocked Box方式(経済的な支配権の帰属をクロージングより前に買主に移転させる仕組み)が採用されることが多い傾向にあります。他方、買主としては、クロージング時(又はクロージング時に近接した時点)における貸借対照表を基準とした事後調整を行う伝統的なclosing/completion account方式(経済的な支配権の帰属をクロージング時又はクロージング時に近接した時点に買主に移転させる仕組み)を要求することが多い傾向にあります。一般的に、特に欧州のM&AにおいてはしばしばLocked Box方式が採用されますが、対象会社の買収局面においては、COVID-19の影響を受けて不確実性が増す環境下における運転資本の減少、負債の増加、資産価値の減少などのリスクを可及的に回避するため、買主の側では、売主に対してclosing/completion account方式での調整を要求する交渉が必要となる場面が増加するものと考えられます。更に、COVID-19の影響が長期化する可能性があることから、買主からの要請に基づき、譲渡対価がクロージング後の業績に連動するearn out方式による支払い、売主の補償義務の担保として譲渡対価の一部の支払いを留保するhold backやescrowの活用により、譲渡対価の支払いを遅らせるスキームを採用する交渉が必要となることが予想されます。 3._プレ・クロージングにおける留意事項
4._Material Adverse Change (MAC) 条項 M&A契約締結後クロージングまでの間に、対象会社の事業に重大な悪影響(MAC事由)が生じる可能性を踏まえて、MAC条項は、主に買主が取引実行を回避するための条項として、(1)_MAC事由の不存在を取引実行の前提条件とする、(2)_MAC事由の不存在を表明保証の対象とし、重大な表明保証違反がないことを取引実行の前提条件とする、(3)_MAC事由の存在を解除事由とするなどの 当事務所は、グローバルに事業を展開している日本企業のクライアントの皆様のニーズを最大限 (文責:岡田) 私どもに何かお手伝いできることがあれば、ぜひお気軽にお問合せください。 |
【UPDATE】新型コロナウィルス感染症に関する各国政府の対応策 |
![]() |
[お問い合わせ先] 東京国際法律事務所 〒100−0013 東京都千代田区霞が関1-4-2 大同生命霞が関ビル8階 Tel: 03-6273-3120(代表) https://www.tkilaw.com/ お問い合わせ、配信停止はこちらから newsletter@tkilaw.com 森幹晴 代表パートナー 弁護士 Tel: 03-6273-3504(直通) E-mail: mikiharu.mori@tkilaw.com 山田広毅 代表パートナー 弁護士 Tel: 03-6273-3503(直通) E-mail: koki.yamada@tkilaw.com |
発行:東京国際法律事務所 Copyright (C) Tokyo International Law Office All Rights Reserved. |