OUR STORY

2023.04.04

【TKI女性弁護士座談会】TKIで活躍する女性弁護士が語る ダイバーシティとは個人を尊重し、多様な価値観を受け入れること

女性の社会進出が求められる一方、出産・育児といったライフイベントの変化がキャリアに与える影響は少なくありません。東京国際法律事務所(以下、TKI)ではこうした問題にどう向き合っているのでしょうか。

谷中 直子弁護士石原 尚子弁護士中田 マリコ弁護士木村 悠希弁護士による座談会から見えてきたのは、性別という枠にとどまらず本質的なダイバーシティを実践するTKIの姿でした。


谷中直子弁護士
2001年弁護士登録、2021年1月TKI入所

国内大手渉外事務所において約20年間の勤務経験を有し、M&A、国際取引、金融規制法、独禁法等を含む会社法務全般、労働案件、ファイナンスを広く扱っている。

石原尚子弁護士
2009年弁護士登録、2022年8月TKI入所

米国大手法律事務所において、10年以上にわたり、国内外の企業を代理し、知的財産権関係取引、M&A、スタートアップ企業に関する取引、Venture Capital投資を中心に、知財戦略や戦略的業務提携を含めた、幅広く一般企業法務およびクロスボーダー取引等の商取引ならびに企業紛争(知財紛争を含む)の経験を有する。


中田マリコ弁護士
2019年弁護士登録、2021年5月TKI入所

国内大手渉外事務所において、M&A、コーポレート、各種規制法、知的財産法(商標、著作権など)、訴訟などを含む会社法務全般に従事。


木村悠希弁護士
2022年弁護士登録、2022年4月TKI入所

M&Aを主軸としつつ、コーポレート、各種規制法、紛争等を含む企業法務分野を幅広く取り扱っている。

女性弁護士の現状と課題

女性の社会進出を支援する動きが進んでいます。活躍されている女性弁護士も増えていますが、弁護士業界ならではの課題もあるのでしょうか。


谷中弁護士:現在は弁護士業界でも性別によるビハインドはほとんどなくなっていると思います。

一方、弁護士に限らずどこの業界でもある問題ですが、妊娠、出産、育児などに関わるようになると稼働時間は限られてきます。働く時間で評価される環境では、どうしても男性との競争は難しくなります。

石原弁護士:一般的に、弁護士はビラブル・アワー(実際に働いた時間)で評価されることが多いです。妊娠、出産、育児などのライフイベントに向き合っていると、その期間に多くの時間稼働することは難しく、結果として、パートナーシップなどへの要件に満たないこともあります。

木村弁護士:クライアントに求められた時すぐに対応できることが、クライアントへ提供できる価値の1つなので、どうしても、多くの時間稼働してavailableであることが求められる仕事ではあるのかなと思います。ご家族の事情などによっては、両立が難しい場面もありますね。

中田弁護士:少し違う視点ですが、法科大学院、司法修習を経た弁護士は社会に出るタイミングが遅くなりがちです。仕事を始めて頑張らないといけない時期とライフイベントの時期が重なってしまい、ライフステージ、キャリアステージの時間配分が難しくなるという問題もあるように思います。

法律事務所でも女性をサポートする姿勢を前面に出すケースが増えているようです。




木村弁護士:サポートが増えていること自体は良いことですが、「子育て中の女性をサポートすること=ダイバーシティ」と考えているように見受けられるケースが多く、その点は違和感を覚えます。

結婚しない選択をする方、子どもをもたない選択をする方もいますし、多様性を考える時に男女という切り出し方にも違和感があります。「子どものいる女性」という特定の層のみをサポートすることが、他メンバーへの価値観の押し付けになっていないか、サポートのアンバランスさから他メンバーに不満が生じ、サポート対象であったはずの「子どものいる女性」も肩身の狭い思いをしているのではないかといった点に課題を感じます。

中田弁護士:私がリクルート活動をしていた時にも違和感がありました。

法律事務所には出産、育児をサポートする仕組みがあって、活用している方々が沢山リクルートの場面に出てこられます。そういった仕組みは確かに必要なのですが、それに伴って特定のロールモデルばかりが強調されると、「もっと他の生き方はないのだろうか」と思ってしまいます。この形がキャリアとライフのスタンダードであるかのような、無意識のうちに作られた固定観念があるのではないか、と感じたのです。

「個人の自己実現を尊重する」TKIの価値観が女性の活躍を後押し

TKIにおける女性の活躍やダイバーシティに関する考え方について教えてください。


谷中弁護士:現在、弁護士の約3分の1が女性で、年齢・国籍もさまざまです。

中田弁護士:性別や国籍を問わず、個性豊かなメンバーがそれぞれのスキルや専門性を発揮して活躍しています。男女平等という価値観からさらにもう一歩進んで、個人の尊重・自己実現を目指していると思っています。

木村弁護士:TKIの男性パートナーやカウンセルは、ダイバーシティに関する考え方がアップデートされている方が多く、価値観の押し付けにならないよう、できるだけ多様なバックグラウンド・属性を想定して話してくれているのを感じます。マネジメント層の男性がこの点にどれだけ自覚的かが、コミュニティにおける女性の生きやすさに大きく影響すると思っています。

また、メンバー間の人間関係がフラットで、年次の差にかかわらず自分の意見を発信でき、きちんと受け止めてもらえます。性別に関係なく一人一人のメンバーを大事に見守ってくれています。

この環境が結果的にTKIにおける女性の活躍につながっていると考えています。

石原弁護士:多様な価値観を持っていますね。ダイバーシティを確保しよう、というよりもナチュラルに「そういう考え方もあるよね」「面白いね」と受け止める事務所なのかなと思います。

営業をしたい人はそこを伸ばせば良いし、違う形で事務所に貢献したいと考えたら受け止めてくれる懐の広さがあります。キャリアプランを描くうえでも良い環境だと思います。

木村弁護士:TKIでキャリアをスタートする女性は私が初めてだったので、入所前は唯一の女性生え抜き弁護士として自分がロールモデルにならなければ、というプレッシャーを感じていました。

しかし、現在のTKIの女性メンバーは、バックグラウンドも考え方も多様です。もちろんロールモデルとしても参考になりますが、特定のロールモデルに縛られなくてもいいんだ、とも思えるようになりました。

ワークライフバランスの確保という観点では、TKIの環境はいかがでしょうか。



谷中弁護士:リモートワークの環境が整っている点は、ワークライフバランスの確保に役立っています。

また、弁護士の評価項目として事務所の知的資産やマーケティングへの貢献といった取り組みが考慮される点も、働きやすさにつながっていると思います。

木村弁護士:TKIは育児や家事に当事者として参加している男性メンバーも多く、事務所全体として、個々のメンバーの仕事と家庭の両立をサポートしようという意識があります。最近、若手の男性弁護士が育休を希望したときも、それをごく自然に受け止めて皆で応援する雰囲気がありました。

育児や家事に限らず、メンバーのプライベートや仕事以外に大事にしていることを尊重する意識も根付いています。

中田弁護士:所内の共有カレンダーに「お迎え」「Medical appointment」とプライベートの予定を入れている方もいます。プライベートの予定が入っている場合、それをチームメンバーに伝えて、メンバー同士の予定に互いに配慮しながら仕事を進めるということが行われています。

他にも、予定の入っている時間帯は電話などの連絡を避けるということが自然発生的に行われています。また、出張や帰省、旅行などでメンバーが海外に行く場合は、その間の電話やメールの対応方法を全体にアナウンスしているケースもあります。

そのような事務所の方針は明文化されているものなのでしょうか?


石原弁護士:代表の山田弁護士自身が状況に応じて地方や海外で働くなど、フレキシブルに活動しており、それがメンバー全員にとっての安心感につながっているように感じます。

山田弁護士からは採用当初から「プロフェッショナルとして仕事ができるのであれば、時間・場所は特に問わない」と伝えられています。

中田弁護士:マネジメントパートナーの方々が行動を見せることで、私たちは「それでいいんだ」と思えますね。

事務所の将来について考えることができる環境

TKIだからこそできる経験について教えてください。

谷中弁護士:大規模な事務所の場合、キャリアプランというと、留学やパートナー昇進といった個人的な視点になりがちですが、TKIの場合は、若手であっても事務所のマーケティングや採用活動に参画したり、メンバー全員が事務所運営においてそれぞれ役割を担っており、どのような事務所にしていきたいかという視点をもって働いているように思います。

石原弁護士:入所前はあまり意識していませんでしたが、TKIで仕事をしていると事務所の将来を意識的に考えることが当たり前になりますね。

中田弁護士:大きな組織で何か新しいことをやろうとすると大変です。TKIはまだ若い事務所なので自分達で事務所をドライブできるポテンシャルに満ちています。

木村弁護士:自分の成長だけでなく、事務所をどうするのか、足りないものがあればどう補うのかを考えることが、最若手に至るまで全員に求められています。

中田弁護士:事務所のために何かしたいと思ったとき、TKIには、メンバー同士のコミュニケーションがとりやすいカルチャーがあるので、安心してプロジェクトを進めようという気持ちになれると思います。

長期的なキャリアをデザインしやすい弁護士という仕事、TKIでその可能性をより広げる

TKIでのキャリアを検討されている女性の方にメッセージをお願いします。


谷中弁護士:TKIには、若手から経験を積んでいる方まで、女性に限らず多様な弁護士がいます。自分もこうなりたいと思える人たちから話を聞き、キャリアを具体的にイメージできるか。合いそうだな、という感覚を持てるかどうかが大切だと思います。

谷中弁護士:TKIには、若手から経験を積んでいる方まで、女性に限らず多様な弁護士がいます。自分もこうなりたいと思える人たちから話を聞き、キャリアを具体的にイメージできるか。合いそうだな、という感覚を持てるかどうかが大切だと思います。

石原弁護士:弁護士という職業は定年がなく、自らの能力と裁量で自由に仕事ができるという点で、長期的に考えると女性にとってもメリットの多い職業といえます。日々研鑽を積む必要がありますが、自立したいと考える方には向いている仕事だと思っています。

そのうえで、事務所の方向性に共感される方には、TKIはとても居心地のよい環境ではないでしょうか。

木村弁護士:一緒に働く人の雰囲気や感覚が自分に合うかはすごく大切だと思います。

TKIは、女性に限らず多様なバックグラウンド・属性の方を尊重しよう、という考えが根付いている事務所です。女性だからといって変に特別扱いされず、1人の弁護士として活躍する機会をくれる。柔軟な感覚があって、困った時には相談できる環境です。

大手事務所のようにサポート制度が整っていて、人数が多く、自分が動けない時でも支障が生じにくい環境は、家庭との両立などに悩まれる方にとって、安心感があって魅力的に映ることも共感できます。

しかし、少しチャレンジングに見えても、思い切って飛び込んでみたら自分に合っている環境だった、ということもあると思います。TKIの雰囲気や感覚が「合うかもしれない」と感じた方は、ぜひ事務所までご連絡いただけたら嬉しいです。

中田弁護士:弁護士は、自分の力でプロフェッショナル像を開拓していける魅力的な仕事です。対象とする分野も非常に広く、さまざまなキャリアの可能性があります。長期的には自分の人生を自分にあった形でデザインしていける職業だと考えています。

そのうえで、どこで働くか、を考える際にはカルチャーや人の雰囲気は大切だと思います。

「制度が整っています」「サポートがあります」という仕組みだけではない、カルチャー、配慮、お互いの尊重という目に見えない柔らかいものが大切だと思うのです。

その目に見えないものをちゃんと育てよう、という意識をTKIのメンバーは皆持っている気がします。だからこそ、ダイバーシティを尊重できる土壌があるのかもしれません。

今回の座談会に参加した私たちのほかにもTKIには多様なライフスタイルの人がいて、それぞれが個性を発揮して活躍しています。

もちろん女性メンバーも多く、悩みを共有したり、相談したりもしています。多くの方に参画していただけることを楽しみにしています。

(文:周藤 瞳美、取材・編集:周藤 瞳美・松本 慎一郎、写真:岩田 伸久)