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2020.06.03

【コラム】CFIUS最終規則の日本企業に対する影響

INSIGHT

2020年2月13日、対米外国投資委員会(Committee on Foreign Investment in the United States「CFIUS」)の最終規則が施行されました。適用除外となるホワイトリストはイギリス、カナダ、オーストラリアの3か国で、日本は除外対象国ではありません。
この最終規則は、2018年11月に施行された外国投資リスク審査現代化法(Foreign Investment Risk Review Modernization Act「FIRRMA)」)のパイロットプログラムの重要規定を取り込むもので、規制内容はFIRRMA制定時に解説されているところですが、対米投資に関するCFIUSの審査範囲は対米投資を検討する日本企業にとって大きな影響を与えうるものです。

本コラムでは、改めてかかるCFIUSの最終規則の概要について整理しました。
なお、大枠の理解を優先して、規則の詳細は省略していますので、個別の案件での判断に際しては専門家にご相談ください。

下記のコラムは、米国法律事務所のWinston & Strawn LLPより提供いただいた情報(12)を基に作成しています。

CFIUS最終規則の日本企業に対する影響について

1. 支配権を取得しない取引の審査対象化

CFIUSは、従前、外国投資家による米国企業に対する支配権を取得する取引(米国企業の買収が典型例)を、審査の対象としていました。しかし、今般の規則改正により、米国企業の支配権を取得しない取引であっても、重要技術、インフラストラクチャー、センシティブな個人情報を扱う米国企業(Technology, Infrastructure, and Data U.S Business「TID米国企業」)に関する「対象取引」をその審査対象に加えました。「対象取引」とは、(1) 非公開の重要技術の情報に対するアクセスを得ることになる取引、(2) 取締役会(これに類似する会議体も含む)の構成員若しくはオブザーバーとしての地位を得ることになる、又は、かかる会議体の構成員若しくはオブザーバーを指名する権利を得ることになる取引、(3) 米国民のセンシティブな個人情報、重要技術若しくは重要なインフラストラクチャーに関する実質的な意思決定に関与することが可能になる取引(議決権行使による関与以外でも)をいいます。

2. 一定の不動産取引の対象化

一定の不動産を取得、リース、使用する権利(concession)を取得することになる取引も、審査対象に追加されました。一定の不動産とは、例えば、特定の空港や港内(又はそれらに供用されるであろう場所)に位置する不動産、一定の軍事・政府施設や所有地に近接(1マイル)する不動産、一定の軍事設備の周辺(99マイル)にある不動産などが対象とされています。また、CFIUSの審査の対象となる取引かどうかは、(1) 物理的なアクセス権があるか、(2) 他者が物理的にアクセスすることを止めさせる権利があるか、(3) 改善、開発する権利があるか、(4) 構造物や施設を備え付ける権利があるか、といった要素も検討されます。

3. 外国政府機関が一定の持分を取得することになる取引の届出義務化

外国政府機関がTID米国企業の「実質的利益」(substantial interest)を取得することになる場合には、原則として、CFIUSへの届出が義務となります。「実質的利益」とは、外国政府機関が直接又は間接に49%以上保有する外国投資家により、TID米国企業の25%以上の議決権が、直接又は間接に保有されるに至る場合をいいます。

4. 最終規則におけるパイロットプログラム

2018年11月、米国財務省はFIRRMAを一部先行して施行し、パイロットプログラムでは、重要技術を含む一定の米国事業に対して支配を伴わない投資を行う場合であってもCFIUSの権限を拡大しました。しかし、米国財務省は、最終規則に関し、当該重要技術に関する義務的届出の対象範囲を、北米産業分類システム(NAICS)コードに基づく判断から、輸出管理ライセンス要件に基づく判断へ変更する旨の新たな規則を公表する予定であることを表明しました。当該判断の変更は、テクノロジー関連企業への外国投資家による投資に大きな影響を与え、一定の投資家に対する義務を緩和する可能性を有するものです。

5. 任意的届出に関する簡易的な申告制度

FIRRMAは、申告(declaration)と呼ばれるCFIUS届出のための簡易形式の手続きを創設しました。これには、外国投資家の役員、所有者などの詳細な個人情報の提出(これらの手続きにより届出が遅れることが多くあります。)を要求されないというメリットがあります。しかし、デメリットとしては、CFIUSが申告に関して最終的な判断をする必要はなく、申告当事者からすれば、将来にわたって当該申告に関してCFIUSが審査の対象としないことは保証されないという点があります。

6. 届出費用

従前、CFIUS届出に関して届出費用はかかりませんでした。最終規則案が公表された本年1月段階でも届出費用については当面不要とされ、別途通知をするものとされていましたが、米国財務省から、本年6月1日までパブリック・コメントを受け付けるとされているものの、本年5月1日より効力を有する届出費用案が公表されています。任意的届出については、原則、費用の納付をしない場合、審査が開始されないこととなります。届出費用は、取引価格(transaction value)に基づいて算出されます。例えば、500万USDから5,000万USD未満の取引価格の場合、届出費用は7,500USDとされています。取引価格とは、対象取引に関連し、取引当事者である外国投資家により、そのために支払われた又はその予定の対価をいい、対価には現金、資産、株式、その他持分、債務の放棄、役務の提供など現物出資を含みます。

(執筆担当者:飯島


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