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2022.01.26

【コラム】インドの生産連動型インセンティブ・スキーム(PLIスキーム)

INSIGHT

インドの生産連動型インセンティブ・スキーム(PLIスキーム)

インドにおける生産連動型インセンティブ・スキーム(PLIスキーム)と呼ばれる、製造業の主要な分野(現在14分野)に対する国内投資や海外直接投資(FDI)の増進を目的とした金銭的な投資インセンティブ・プログラムについての最新情報をお届けします。

2020年3月に発表されて以来、このプログラムは、有資格企業に対して、医薬品、自動車、特殊鋼等の分野への投資について、合計約270億米ドルの魅力的なインセンティブを提供しています。

今回は、現在募集中又は近時募集開始予定のPLIスキームの要点をご紹介します。

はじめに

インドにおける製造業の促進を狙いとしてインド政府によって発表されて以来、PLIスキームはインド国内の事業体及び国際的な事業体から非常に大きな関心を集めています。実際、医薬品分野のPLIスキームをはじめ、PLIスキームに対しては、募集枠を超えた応募がなされています。最初のPLIスキームの一つである医薬品分野のPLIスキームでは、合計約20億米ドルの予算が設けられました。このPLIスキームには約300もの応募があり、そのうち55社が最終的に参加企業として選定されました。そこでは、Sun Pharmaceuticals、 Dr. Reddy’s Laboratories、Lupinといった大手企業も選定されています。また、通信分野のPLIスキームにおけるFoxconnやNokia、白物家電分野のPLIスキームにおけるダイキン、パナソニック、ジョンソンコントロールズ日立空調をはじめ、グローバル企業が選定されています。

PLIスキームに関心が集まる理由

以下でご紹介するPLIスキームのインセンティブは魅力的なものです。インド政府は、各PLIスキームにおける支払いについて専用の予算を設けています。これにより、インセンティブを受領する資格を有する者(ここでは、PLIスキームで求められる条件を満たし、インセンティブを受領する資格を得た後のPLIスキームの参加者を意味します)がインセンティブを受けられない可能性は極めて低くなります。各PLIスキームの運用は、関係省庁により委託を受けた専属のプロジェクト・マネジメント・エージェンシーによって行われています。インド政府は、PLIスキームについて、効果を検証し、その期間の運用について監視するため、関係省庁による定期的な見直しを行う意向を有しています。加えて、PLIスキームは、原則として、他の補助金やスキームに影響を与えません。したがって、他の補助金やスキームの便益を享受している事業体であっても、PLIスキームにかかる条件をすべて満たす限り、PLIスキームに参加することができます。

日本の製造会社のインドにおけるプレゼンス、現地での肯定的評価、現地で有する既存の関係性、インドの製造業に関する実践知といった要素は、PLIスキームの下で要求される目標値を達成してインセンティブを受領するのに大いに役立つものと考えられます。

インセンティブの内容

その名のとおり、PLIスキームの下でのインセンティブは生産に連動しています。PLIスキームへの参加資格を有しており、かつ規定の年間及び累計の投資、生産及び売上の目標値を達成した企業は、インド政府から現金でインセンティブを受領することになります。インセンティブは、PLIスキームの期間中毎年、目標値を達成した企業に支払われます。例えば、鉄鋼分野のPLIスキームでは、インセンティブ・カテゴリーに応じて売上高の3~15%の範囲で、合計最大約8.5億米ドルのインセンティブが支払われます。インドで製造されていない又は製造量が少ない特殊鋼については、より多額のインセンティブが提供されます。繊維製品分野のPLIスキームでは、インセンティブ・カテゴリーに応じて売上高の7~15%の範囲で、合計最大約14億米ドルのインセンティブが提供されます。

インセンティブの金額は各分野に応じて異なっており、参加を検討する企業は、インセンティブの金額算定方法、条件、及び資格について規定するPLIスキームの詳細説明や対応するガイドラインを精査すべきです。

PLIスキームへの応募

募集期間、応募プロセス、必要な添付書類やその他の当該分野の固有の条件について確認するため、PLIスキームとそのガイドラインは併せて読む必要があります。各分野のPLIスキームに共通する条件としては、インド法人であることや、各PLIスキーム毎に異なる最低純資産額要件があります。これらに加えて分野固有の要件を満たす必要があります。例えば、鉄鋼分野のPLIスキームでは、応募するインド企業は、インド国内において“エンド・ツー・エンド”製造(各製造工程のすべてがインド国内で行われる製造を指し、PLIスキームに説明があります)を行う必要があります。また、鉄鋼分野のPLIスキームの参加企業に選定された企業は、鉄鋼省との間で、選考時の誓約事項を遵守することを約する基本合意書を締結する必要があります。

現在募集中又は今後募集予定のPLIスキーム

早期に発表されたいくつかのPLIスキームは既に募集を終了しているものの、以下のPLIスキームは現在募集中、又は今後募集開始予定であり、追って詳細が公表される予定です。

  1. 鉄鋼分野:PLIスキームが2021年7月29日に、ガイドラインが同年10月20日に公表されました。現在既に募集を開始しており、募集期間は2022年3月29日までの予定です。
  2. 繊維製品分野:PLIスキームが2021年9月24日に公表されました。現在既に募集を開始しており、募集期間は2022年1月31日までの予定です。
  3. ドローン及びドローン部品分野:PLIスキームが2021年9月30日に公表されました。詳細なガイドラインと募集期間については今後公表予定です。
  4. 半導体分野:近時インド政府によって、半導体分野のインセンティブ・スキームが公表されました。詳細については今後発表される予定です。

おわりに

PLIスキームへの参加に関心のある企業の皆様におかれましては、スキームへの応募について前もって準備されることをお勧めします。具体的には、参加を検討しているPLIスキームとそのガイドラインを詳細に検討し、募集期間や応募基準を確認して、応募期限までに関係省庁に対して応募を完了するために必要な情報や書類を準備することになります。募集期間は比較的短い(募集開始から60~90日が一般的)ので注意が必要です。募集期間内に応募した場合でも、各PLIスキームにはインセンティブについての予算が設定されているため、スキームに参加できる企業数には制約があります。

(執筆担当者:アイヤル竹内


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