規制・当局対応その他

【コラム】ダークパターン問題の整理 DAZN事例を契機としたサブスクリプション型サービスの表示・導線設計上の留意点

Executive Summary, Key Questions (FAQ) / 要約(クリックで開く)
  • 「ダークパターン」とは具体的にどのようなものを指しますか?
    ― OECD(経済協力開発機構)によると、消費者の思い込みを利用するなどして、消費者が自分の利益に最適でない可能性のある選択に誘導する、オンライン上の事業慣行を指します。
    【主な類型】
    隠された情報:総額、契約期間、解約条件、追加費用などを目立たせない
    偽りの階層表示:事業者に有利な選択肢を大きく目立たせ、拒否等のボタンを小さくする
    事前選択:有料オプションや同意項目が初期状態で選択済みになっている
    解約困難:加入は簡単であるにもかかわらず、解約に多くの画面や手順を必要とする
    隠れたコスト:購入手続きの後半になってから、手数料や追加条件を表示する
    強制登録・みなし同意:閲覧や購入に不要な会員登録や同意を要求する
  • サブスクリプションサービスの「最終確認画面」では、どのような事項を表示する必要がありますか?
    ― 特定商取引法の通信販売規制を踏まえ、消費者が容易に確認できる形で以下の事項を表示する必要があります。
    ・サービスの提供期間や期間内に利用可能な回数
    ・無料・割引期間終了後に発生する通常料金
    ・契約期間中の総支払額(または初年度総額)
    ・解約可能時期、解約期限、解約条件、および解約方法
    ・問い合わせ窓口(FAQ、チャットボット、有人対応など)へのアクセス方法
    ・解約・返金・キャンセルに関する申請導線、処理期間、対象条件
  • キャンペーン価格(例:「最初の3か月は月々980円」など)を訴求する場合、どのような点に留意すればよいですか?
    ― 消費者の判断を歪めないよう、以下の点に留意した設計が実務上期待されます。
    ・割引後の「通常価格」「期間」「最低契約期間」「総支払額」を、キャンペーン価格と同一画面かつ同程度の視認性で表示すること
    ・「月額」や「いつでも解約可能」などの表現を用いる場合、年間契約の拘束や最低利用期間、解約期限との関係を明確に明示すること
    ・プラン選択画面の第一印象だけでなく、申込フロー全体(一連の導線全体)として誤認を招かないか慎重に検討すること
  • ダークパターンは、消費者保護の観点だけでなく、独占禁止法の観点からも問題になりますか?
    ― はい、両方の観点から検討対象となり得ます。
    消費者庁側の観点(消費者保護):景品表示法や特定商取引法に基づき、平均的な消費者が誤認せず理解できたかを軸に「誤認・不利益な意思決定」を問題とします。
    公正取引委員会側の観点(独占禁止法):「公正な競争」や「乗換え阻害(囲い込み)」を問題とします。市場での地位やロックイン状況等により、「ぎまん的顧客誘引」「抱き合わせ販売等」「取引妨害」「優越的地位の濫用」への該当性が検討されます。
  • 表示上の問題(炎上や法令違反の指摘など)が発生した後の「事後対応」において、実務上何に気をつければよいですか?
    ― 表示の適正化だけでなく、問題発生後のカスタマーサービス導線を整えておくことが極めて重要です。問い合わせ先や解約方法が分かりにくいと消費者の不満が増幅し、SNS等で批判が拡散してブランド価値の毀損(レピュテーションリスク)を招きます。苦情急増時に備えた社内エスカレーション体制や顧客向けの説明方針、回答の一貫性を事前に準備しておくことが有益です。

要旨

  • DAZN Soccerをめぐる一連の報道は、低額な月額表示と、年間契約・総額・途中解約条件との関係が消費者にどの程度明確に伝わっていたかを問題提起するものである。
  • 日本では、ダークパターンを単独で包括的に規制する法律が整備されているわけではないが、景品表示法、特定商取引法、消費者契約法、個人情報保護法、特定電子メール法、独占禁止法等との関係で検討され得る。
  • 事業者にとって重要なのは、単に「どこかに記載したか」ではなく、広告、プラン選択画面、申込画面、最終確認画面、解約導線を含む一連のフロー全体として、平均的な消費者が価格、契約期間、自動更新、解約条件を誤解なく理解できる設計となっているか。
  • 特にオンラインのサブスクリプション型サービスでは、キャンペーン価格、無料・割引期間終了後の料金、最低利用期間、解約期限、解約方法を、消費者の意思決定時点で明確に示すことが実務上重要。
  • 表示設計の適正化にとどまらず、問合せ窓口、解約・返金申請、FAQ、チャットボット・有人対応へのエスカレーション等を含むカスタマーサービス導線を整備し、消費者がフラストレーションを溜めずに利用できることが、将来のサービス展開に向けても重要。
  • この種の問題は、SNS等を通じた批判の拡散によりレピュテーションリスクを高めるだけでなく、規制当局からの照会・調査・執行対応に要する社内外のコストを発生させ得る。そのため、新たなマーケティング施策の実施前に、表示・UI・カスタマーサービス体制を横断的にレビューすることは、最終的にはコスト抑制にも資する。

1. ダークパターンとは何か

OECDは、いわゆるダークコマーシャルパターンについて、消費者の思い込みを利用するなどして、消費者が自分の利益に最適でない可能性のある選択に誘導する、オンラインのユーザーインターフェース上で広くみられる事業慣行として整理しています。日本でも、消費者庁新未来創造戦略本部国際消費者政策研究センターにより、いわゆる「ダークパターン」に関する取引の実態調査が公表されています。
ダークパターンについて、具体的な行為定義があるわけではなく、また、必ずしも法令上違法又は不当とまで評価されない場合もあるため事業者としてもマーケティング施策として是非の明確な線引きが難しいところですが、ダークパターンとの指摘を受けること自体がカスタマーからの支持・ブランドを毀損しかねません。

ダークパターンとして問題となり得る代表的類型:

類型 典型例 問題の焦点
隠された情報 総額、契約期間、解約条件、追加費用等が目立たない。 重要条件を十分に認識できないまま申込みに進むおそれ。
偽りの階層表示 事業者に有利な選択肢が大きく目立ち、拒否・通常選択が小さい。 ユーザーの注意を一方の選択へ誘導するおそれ。
事前選択 有料オプションや同意項目が初期状態で選択済みになっている。 積極的同意の有無が曖昧になるおそれ。
解約困難 加入は容易だが、解約には多画面・多手順が必要となる。 乗換え・離脱を妨げるおそれ。
隠れたコスト 購入手続の後半で手数料や条件が表示される。 比較時の価格認識を歪めるおそれ。
強制登録・みなし同意 閲覧や購入に不要な登録・同意を要求する。 個人情報の提供や同意の任意性が弱まるおそれ。

重要なのは、個別のボタンの色や文言だけではありません。ユーザーインターフェース全体の設計が、消費者の注意、認識、比較、取消し・解約行動にどのような影響を与えるかが問題となります。
さらに、オンラインサービスでは、消費者の不満がSNS、レビューサイト、ニュースメディア等を通じて短時間で拡散し、法令違反の有無とは別に、ブランド価値や顧客獲得に影響を及ぼすこともあります。そのため、表示内容のレビューだけでなく、問合せがあった場合に適切な説明・是正・返金等を行えるよう、カスタマーサービス体制まで含めて事前に整えておくことが実務上有益です。

2. DAZN Soccerの事例

報道によれば、DAZNはサッカー専用プラン「DAZN Soccer」の料金表示について、2026年5月30日から6月11日午後8時までの表示に「月額プランと受け取れる記載」があったことを認め、希望者に対して解約・返金対応を行うとしています。なお現在のDAZN公式のプラン説明では、DAZN Soccerは「年間プラン・月々払いのみ」とされ、通常は月々2,600円、キャンペーンでは最初の3か月が月々980円、4か月目以降が月々2,600円、初年度総額26,340円という構造で説明されています。
この事例の評価を検討する際には、実際の広告表示、プラン選択画面、購入概要画面、最終確認画面、利用規約、解約導線等を含む表示全体を踏まえて評価する必要があります。
実務上注目すべきなのは、サッカーワールドカップという視聴需要が非常に高まる場面で、「月額980円」という低額な表示が消費者に与えるインパクトと、年間契約、初年度総額、途中解約の可否といった重要条件の見せ方との関係です。例えば、最終確認画面に一定の説明が存在する場合でも、プラン選択画面等で形成された第一印象が強い・残存するといえる場合には、表示全体として誤認を招くおそれがないかを慎重に検討する必要があります。

DAZN事例をダークパターンの観点から見る場合の整理:

観点 該当し得る類型 実務上の論点
価格訴求 隠された情報 / 偽りの階層表示 / 価格比較妨害 / 隠れたコスト 「980円」だけが強く認識されると、実際の総負担額を踏まえた判断が歪むおそれがある。
契約期間・解約条件 隠された情報 / サブスクリプション・トラップ/ 解約困難 年間契約に拘束され得ることが明確に理解できるか。申込時に解約可能性・時期や解約条件を十分に判断できるか。
解約・退会の容易性 キャンセル困難 実際の解約手続きが可能・容易か。
表示全体 複合型ダークパターン 単一文言ではなく、申込フロー全体が意思決定に与える影響を検討する必要がある。

また、表示上の問題が指摘された後の対応として、消費者が問合せ先や、解約方法、返金申請の対象・手続・期限を容易に把握できるかも重要です。仮に申込時の表示に一定の説明があったとしても、事後対応の導線が分かりにくい場合には、消費者の不満が増幅し、SNS上での批判やメディア報道を通じてレピュテーションリスクが拡大するおそれがあります。

3. 消費者庁における検討

消費者庁新未来創造戦略本部 国際消費者政策研究センターは、2025年4月に「いわゆる『ダークパターン』に関する取引の実態調査」を公表しています。同資料は、消費生活相談情報等からトラブルが想定されるサイトや、利用実績が多いと考えられる国内向けウェブサイトを対象に、ダークパターン事例を収集・分類した調査研究資料であり、消費者庁の公式見解を示すものではありません。そのため、直ちに行政処分基準や個別事案における法令解釈を示すものではありませんが、今後の規制の方向性・動向を探り、事業者が今後進める施策の検討に当たっては有益な視点を提示するものです。

4. 特定商取引法との関係

インターネット通販、定期購入、サブスクリプション型サービスの実務では、特定商取引法の通信販売規制も重要です。消費者庁は、通信販売の申込み段階における表示について、最終確認画面等で申込内容を分かりやすく表示するためのガイドラインや事業者向け資料を公表しています。
最終確認画面では、商品・サービスの内容・分量、対価、支払時期・方法、提供時期、申込みに期間制限等ある場合にはその内容、申込みの撤回や解除・解約条件等を、消費者が容易に確認できる形で表示する必要があります。
サブスクリプション型サービスでは、特に次の事項が重要です。

  • サービスの提供期間や期間内に利用可能な回数(無期限の場合はその旨・場合によって総分量)
  • 無料期間又は割引期間の終了後に発生する通常料金
  • 契約期間中の総支払額(又は初年度総額)
  • 解約可能時期、解約期限、解約条件、解約方法
  • 問い合わせ窓口、FAQ、チャットボット、有人対応等へのアクセス方法
  • 解約・返金・キャンセルに関する申請導線、処理期間、対象条件
  • 苦情・問い合わせが急増した場合の社内エスカレーション体制及び顧客向け説明方針

5. 公正取引委員会・独占禁止法上の論点

公正取引委員会の競争政策研究センターは、2025年5月に「ダークパターンを巡る競争政策及び独占禁止法上の論点」と題するディスカッション・ペーパーを公表しています。同ペーパーは、ダークパターンの具体的手法、国内外の規制状況、競争政策上の懸念、現行独占禁止法上の適用可能性を整理するものです。なお、同ペーパーも調査研究の位置づけであり、公正取引委員会としての個別事件処理方針又は公式見解を直ちに示すものではありませんし、記載されている行為によっては直ちに独占禁止法違反となるわけではありません。もっとも、事業者の市場における地位、利用者のロックイン状況、競争者への乗換え阻害、市場閉鎖効果、データ取得の必要性・相当性等によっては、不公正な取引方法や優越的地位の濫用等との関係で検討対象となり得ることに留意が必要です。

独占禁止法上の主な留意点:

違反行為類型 ダークパターンとの関係 留意点
ぎまん的顧客誘引 隠された情報や偽装広告など、実際より有利・優良に見える表示、隠された不利益条件等。 表示全体として顧客を誤認させて誘引するかが問題となり得る。
抱き合わせ販売等 隠された情報、偽りの階層表示、事前選択、偽装広告などにより、不要な商品・サービス又は有料オプションを事実上選ばせる設計。 単なる事前選択が直ちに該当するわけではなく、強制性や競争への影響等を検討する必要がある。
取引妨害 事前選択による変更・選択肢比較の困難性。 消費者保護上の問題にとどまらず、競争者への乗換えを実質的に妨げるかが問題となり得る。
優越的地位の濫用 必要範囲を超える個人情報取得、みなし同意、強制登録等。 優越的地位の有無、取引上の地位、データ取得の必要性・相当性等を個別に検討する必要がある。

6. 消費者庁と公正取引委員会の観点の違い

比較軸 消費者庁側の観点 公正取引委員会・競争政策上の観点
基本的な関心 消費者保護、誤認、不利益な意思決定、表示・契約手続。 競争政策、能率競争、乗換え阻害、データ取得による競争優位。
主な法制度 景品表示法、特定商取引法、消費者契約法、個人情報保護法等。 独占禁止法、不公正な取引方法、優越的地位の濫用等。
重点領域 定期購入、サブスク、最終確認画面、解約条件、価格・総額表示。 解約困難、囲い込み、比較妨害、プラットフォームによるデータ取得。
判断の軸 平均的な消費者が誤認せず理解できたか。 公正な競争・取引機会が歪められたか。

7. 国内外の最近の事例

事例 概要 示唆
DAZN Soccer 低額な月額表示と、年間契約・総額・解約条件の見え方が問題提起された。また、解約の困難性についての指摘も多数挙げられている。 価格訴求と拘束条件は、消費者の意思決定時点で近接し、かつ同程度の視認性で提示すべき。申込だけでなく解約のロジの容易性も確認が必要。
Uber One FTCは、Uber Oneの請求・解約慣行について、解約に多数 of 画面・操作を要するなどとして提訴。現時点では最終的な判断は出ていない。 「いつでも解約可能」と実際の操作負担との整合性が重要。
Fortnite / Epic Games FTCは、Fortniteにおける意図しない購入を誘発する設計を問題視し、運営会社との和解及びこれに対する2億4,500万ドルの支払命令を踏まえ、消費者への返金対応を進めている。 意図しない購入を誘発するUI設計への監視は厳しい。
Cookie同意・個人情報同意 同意ボタンを目立たせ、拒否・撤回を困難にする設計が国際的に問題化している。 同意の任意性、撤回容易性、選択肢の同等性が焦点となる。

これらの事例からは、問題となるのが申込時の表示やUI設計に限られないことが分かります。解約に要する操作数、問合せに対する説明の一貫性、返金・キャンセル対応の分かりやすさなど、顧客対応プロセス全体が規制リスク及びレピュテーションリスクの評価に影響します。

8. 実務上のチェックポイント

企業がサブスクリプション、定期購入、キャンペーン価格、個人情報同意、アプリ内課金等を設計する際には、次の観点で事前にレビューすることが望まれます。
さらに、ベストプラクティスとしては、表示やUIのレビューだけではなく、リリース後に消費者からくることが想定される問合せ・苦情を検討しておき、解約申請が発生した場合などの対応方針を、カスタマーサービス部門、マーケティング部門、法務・コンプライアンス部門が共有・確認しておきたいところです。

  • 価格:初月・キャンペーン価格だけでなく、通常価格、初年度総額、更新後総額等を視認性のある位置に表示しているか。
  • 契約期間:年契約、最低利用期間、自動更新、更新日が申込直前に明確か。
  • 解約:解約導線の見つけやすさ、解約までのステップ(過度な引き留めや多段階操作がないか)。
  • 選択肢:同意する、拒否する、後で選ぶ等の選択肢が同等の視認性で示されているか。
  • 事前選択:有料オプション、個人情報同意、広告配信同意が初期状態でどのような選択になっているか。
  • 最終確認画面:商品・サービス内容、数量、金額、契約期間、支払時期、解除条件がデバイス・表示形態に応じて視認性良く把握できるか。
  • レビュー・ランキング:広告、PR、提携、スポンサー表示が明確か。
  • 対象消費者:子ども、高齢者、イベント需要など焦りが強い場面で誤認が生じないか。
  • 問い合わせ導線:料金、契約期間、解約・返金条件について問い合わせたい消費者が、FAQ、問合せフォーム、チャット、電話等の適切な窓口に容易に到達できるか。言語的な問題が生じないか。
  • 解約・返金対応:解約・キャンセル・返金の対象条件、申請方法、処理期間、結果通知方法が明確であり、カスタマーサービス担当者の回答が一貫しているか。
  • 炎上・当局対応:SNS上の批判、問合せ急増、報道、規制当局からの照会が生じた場合に、事実確認、社内意思決定、顧客向け説明、必要な是正措置を迅速に行う体制があるか。
  • 事前レビュー:新たなキャンペーンや価格訴求を開始する前に、広告表示、ランディングページ、申込画面、最終確認画面、利用規約、FAQ、解約・返金導線、カスタマーサービススクリプトを一体として共有・確認できているか。

特に、キャンペーン価格を表示する場合には、割引後の通常価格、割引期間、最低契約期間、初年度又は契約期間中の総支払額を、キャンペーン価格と同一画面・同程度の視認性で表示することが期待されます。
また、「いつでも解約可能」「月額」など、消費者が短期契約を想起しやすい表現を用いる場合には、年契約、最低利用期間、解約期限との関係を消費者が理解できる視認性で明示すべきです。 これらの確認をマーケティング施策の実施前に行うことは、リリース時のスピードを一時的に下げるように見える場合があります。しかし、事後的に表示修正、返金対応、問合せ対応、SNS上の批判対応、規制当局対応を行うコスト等を考えれば、予防的なレビューとカスタマーサービス体制の整備は、結果として事業全体のコスト抑制に資するものといえます。

9. 結論

DAZN事例は、消費者が短期・低額のサービスであると受け止め得る価格表示と、年間契約・総額・途中解約条件との関係が、オンライン上の表示設計においてどのように整理されるべきかを考える契機となりました。
また、問題が発生した後の問合せ、解約、返金対応の導線が消費者からどのように受け止められるかも、事業者の信頼性に直結することを示しています。サブスクリプション型サービスでは、申込時点の表示だけでなく、契約後の顧客対応プロセスを含めて、消費者が合理的に判断し、必要に応じて円滑に離脱できる設計となっているかを確認することも重要です。
新しいようで実は古いこの論点については、オンライン上の表示設計という新しい観点を踏まえて、消費者庁や公正取引委員会の政策研究センターがそれぞれの観点から検討を進めており、今後はさらにオンライン上の表示設計の視認性と、申込と解約の導線・容易性の同等性などがより強く問われる可能性があります。
スピーディな事業展開・促進のためにも、新規キャンペーン、価格改定、期間限定オファー、無料・割引トライアル等のプロモーションを実施にあたって、単なる広告審査にとどまらず、カスタマーサービス導線、FAQ、社内対応フロー、炎上時・当局照会時の初動対応まで含めた一体的な予防的レビュー体制の備えがあると安心です。 当事務所では、オンラインサービス、サブスクリプション型サービス、デジタルマーケティング施策に関する表示・導線設計のレビュー、利用規約・FAQ・カスタマーサポート文言の整備、社内対応フローの構築、並びに消費者対応・規制当局対応を見据えた実務的な助言を提供しています。新たなプロモーション施策の実施や既存サービスの見直しにあたってご懸念がある場合には、お気軽にご相談ください。

参考資料

いわゆる「ダークパターン」に関する取引の実態調査
消費者庁新未来創造戦略本部国際消費者政策研究センター / 2025年3月 / https://www.caa.go.jp/policies/future/icprc/research_010/assets/caa_futurer101_0407_01.pdf

通信販売の申込み段階における表示についてのガイドライン
消費者庁 / https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/specified_commercial_transactions/assets/consumer_transaction_cms101_2401119_03.pdf

ダークパターンを巡る競争政策及び独占禁止法上の論点
公正取引委員会 競争政策研究センター / 2025年5月/ https://www.jftc.go.jp/cprc/reports/disucussionpapers/r7/CPDP-101-J_abstract.html

通信販売の申込み段階における表示についてのガイドライン
消費者庁 / https://www.no-trouble.caa.go.jp/pdf/20241119la02_09.pdf

Dark commercial patterns
OECD / 2022年10月26日 / https://www.oecd.org/en/publications/dark-commercial-patterns_44f5e846-en.html

FTC Takes Action Against Uber for Deceptive Billing and Cancellation Practices
Federal Trade Commission / 2025年4月21日 / https://www.ftc.gov/news-events/news/press-releases/2025/04/ftc-takes-action-against-uber-deceptive-billing-cancellation-practices

FTC Sends Refund Payments to Consumers Impacted by Epic Games’ Unlawful Billing Practices
Federal Trade Commission / 2024年12月9日 / https://www.ftc.gov/news-events/news/press-releases/2024/12/ftc-sends-refund-payments-consumers-impacted-epic-games-unlawful-billing-practices

本ニュースレターは、一般的な情報提供を目的とするものであり、個別具体的な事案についての法的助言を構成するものではありません。具体的な対応については、個別の事実関係及び最新の法令・ガイドライン・実務動向を踏まえた検討が必要です。
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(執筆:石原 尚子

石原 尚子
東京国際法律事務所
naoko.ishihara@tkilaw.com

石原尚子弁護士
東京国際法律事務所パートナー弁護士。大手米国系および国内法律事務所にて15年以上のキャリアを有する、知的財産(IP)、テクノロジー法務、およびデジタル・B2C関連ビジネス規制のスペシャリスト。
専門分野: IPライセンス、技術移転、M&Aに伴う知財取引、知財・商事紛争に加え、近時規制が強化されているB2Cビジネス規制(特定商取引法・景品表示法・独占禁止法・デジタルプラットフォーム規制等)まで広く対応。コンピュータ、自動車、半導体、医療機器などのハイテク分野からデジタルプラットフォーム事業者まで、幅広い業界の最先端法務のクライアントを持つ。
強み: グローバル企業におけるインハウス(社内弁護士)業務や、不祥事・当局照会発生時の内部調査における豊富な経験を活かし、単なる法解釈にとどまらないビジネスニーズを踏まえたカスタマーリレーション、レピュテーション・ブランディングを含めたアドバイス等、実践的かつ予防的なコーポレート法務支援を行う。
資格: 第二東京弁護士会(2009年登録)、カリフォルニア州弁護士(2017年登録)
主な所属・役職: 日本ライセンス協会、著作権法学会、日本商標協会、日本仲裁人協会。Global Vascular株式会社およびPIVOT株式会社の社外監査役。