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2020.07.21

【コラム】コロナ禍における海外腐敗行為防止法(FCPA)の動向

INSIGHT

外国公務員等への贈賄問題等、海外法を含めたグローバル・コンプライアンスは、日本企業の皆様の大きな課題の一つです。

コロナ禍における海外腐敗行為防止法(FCPA)の動向についてご紹介します。
企業コンプライアンス・プログラムの評価ガイダンスFCPAのためのリソースガイド【第2版】

なお、下記の情報は、米国法律事務所 Winston & Strawn の Eva Cole 及び Eric Meiring 両弁護士より提供いただいています。

コロナ禍における海外腐敗行為防止法(FCPA)の動向

1. FCPAの摘発件数のトレンドと過去最大の罰金案件

FCPAに基づき、日本企業が摘発され、巨額の罰金が科せられた事例もあるほか、直近2020年2月では、航空機メーカーのフランス企業のエアバス社が、米国・英国・フランス政府当局との間で、贈賄・汚職捜査について罰金約36億ユーロ(約4,300億円)を支払うことで和解に合意した旨が発表されました(支払内訳は、フランス当局に約21億ユーロ、英国に約9億9100万ユ-ロ、米国に5億2700万ユーロ)。

他方、直近発表された米国スタンフォード大学の発表によれば、2020年の直近2四半期におけるFCPAの摘発件数は11件と、過去10年で3番目に少ない件数で、コロナ禍を受けて摘発ペースは、少なくとも2020年については鈍化傾向のように見受けられますが、今後はどうなるのでしょうか?

(引用:Stanford Law School Foreign Corrupt Practices Act Clearinghouse「2020 Q2 Report」より)

また、数字に隠れたFCPAの執行状況の実務はどうなのでしょうか?

2. 直近2四半期(2020年第1・第2四半期)におけるFCPA関連案件数の減少の背景

確かに、COVID-19の影響を受けた政府関連部門と民間部門のシャットダウンは、管轄区域間の調整、渡航制限、リモートワーク等米国司法省とこれに携わる弁護士の双方に影響を与え、直近2四半期(2020年第1・第2四半期)のFCPAの摘発ペースに影響を与えていました。例えば、企業と米国政府は、FCPA 案件の時効の成立を遅らせるために、期限の延期合意(tolling agreement)を締結させることができるところ、COVID-19の影響のためリソースが限られている現状で、このようなtolling agreementの実例もしばしば見受けられていました。

しかし、米国海外腐敗行為防止法(FCPA)の調査は、多くの年数を要するため、直近2四半期の数値等短期的な数値のみで、そのFCPAの執行機関である米国司法省(U.S. Department of Justice)の動向を判断できないでしょう。FCPAの典型的な調査期間である3~5年といった長期的期間で、米国司法省の公表件数を確認すると、ほぼ毎年摘発件数が増加していることがわかります。

また、現在では、米国司法省や企業、弁護士がリモートワーク等現環境に適応してきていますし、多くの州において大陪審(grand jury:一般市民から選ばれた陪審員で構成される犯罪(FCPA関連の犯罪を含む)を起訴するか否かを決定する機関)の活動が再開されています。

従って、米国司法省は既存の調査を進めており、今後の摘発件数の予想は困難ですが、今年2020年11月に予定されている大統領選挙前に問題を片付けたいという思惑から、今後FCPA案件の摘発件数が増えてくる可能性も否定できないところです。

3. 今後のFCPAの動向を測るうえで確認すべき事項

COVID-19 の深刻な状況が継続しているにもかかわらず、2020年6月1日、米国司法省は、企業コンプライアンス・プログラム評価についてのガイダンス(Evaluation of Corporate Compliance Programs)に関する更新を行い、また、翌月3日、米国司法省と米国証券取引委員会(U.S. Securities and Exchange Commission:SEC)はFCPA 関連のリスクに対処する企業及び個人のための現行のガイダンスを更新し、FCPA のためのリソースガイドの第2版(the Second Edition of the Resource Guide to the Foreign Corrupt Practice Act)を公表しました。

米国司法省及びSECによるFCPA関連対応の発表が立て続けに行われていることからすれば、米国司法省のFCPAの執行に対する姿勢は衰えておらず、2020年後半期以降盛り返してくる可能性はあり、米国司法省の動きやこれらガイダンス等の内容は要注意であると考えます。

FCPAに関する米国政府の動向は、クロスボーダー取引に大きな影響を与える可能性があり、今後もその動きを注視する必要があります。

(執筆担当者:岩崎


※本記事の内容は、一般的な情報提供であり、具体的な法的アドバイスではありません。
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