ヘルスケア・ライフサイエンス

【コラム】日本のオンライン診療およびオンライン服薬指導に関する法規制のフレームワーク

日本のオンライン診療およびオンライン服薬指導に関する法規制のフレームワーク

本稿は英語で作成された原文をもとに日本語要約を掲載しています。英語版の全文記事は以下よりご覧いただけます。
“Japan’s Regulatory Framework for Online Medical Care and Telepharmacy”

Executive Summary

オンライン診療およびオンライン服薬指導をはじめとする遠隔医療は、近年日本国内で大きな注目を集めています。2026年4月および5月に施行された関連法改正により、日本におけるオンライン診療の明確な法的枠組みが整備されるとともに、オンライン服薬指導の対象範囲が大幅に拡大されました。本エグゼクティブ・サマリーは、ライフサイエンス・ヘルスケア関連事業者、プラットフォーム事業者、および日本市場への参入を検討している海外企業・投資家に向けて、これらの最新規制動向の概要を解説するものです。

  • オンライン診療の法的枠組み:
    2026年4月施行の改正医療法に基づき規定されています。オンライン診療は「リアルタイムでの映像および音声の双方向通信」が厳格に義務付けられています。この改正により、厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」により示されていた主要な考え方を踏まえ、医療従事者の資格要件、初診時の安全確保措置(事前のリアルタイム相談等)、および医療機関の届出義務などが明確に定められました。
  • オンライン診療受診施設の新設:
    2026年改正医療法により、デジタルリテラシーの不足や設備・通信環境の課題、地理的制約を抱える患者がオンライン診療を受診できるようにするための新たな施設区分「オンライン診療受診施設」が創設されました。同施設を開設・運営する事業者は、所轄自治体への事前届出、物理的プライバシーおよび情報セキュリティの確保、ならびに厳格な医療広告規制の遵守が求められます。
  • オンライン服薬指導の対象拡大:
    薬機法に基づき、薬剤師によるオンラインでの情報提供・服薬指導が認められています。2026年5月施行の薬機法改正により、「要指導医薬品」へとその対象が拡大されました。ただし、レボノルゲストレル等を含む緊急避妊薬など、厚生労働大臣が指定する高リスクな「特定要指導医薬品」については、引き続き対面での指導・販売が義務付けられています。
  • クロスボーダーで行われる遠隔医療の提供に関する留意点:
    日本国内の医師が海外に滞在する患者に対してオンライン診療を行う場合、日本の医療法等が適用されます。同時に、患者が所在する現地のヘルスケア関連法規制、医薬品の輸出入規制、および個人データの越境移転規制についても、国ごとに個別かつ厳格に検討する必要があります。

主要な要点 (Key Takeaways)

  1. 映像・音声の双方向通信の厳格な義務付け。 オンライン診療およびオンライン服薬指導のいずれにおいても、リアルタイムでの「映像および音声の同時通信」が必須とされており、電話(音声のみ)やチャット(文字のみ)による診療・指導は認められません。
  2. 「オンライン診療受診施設」によるアクセス向上。 新たに創設されたオンライン診療受診施設の枠組みにより、民間事業者が専用の受診スペースを開設・運営することが可能となり、規制の傘の下でデジタルデバイドの解消が図られています。
  3. オンライン服薬指導の対象拡大による市場機会。 2026年5月施行の改正薬機法により要指導医薬品のオンライン服薬指導が解禁されたことで、デジタルファーマシーやプラットフォーム事業者にとって新たな事業機会が拡大しています。
  4. 患者の安全確保措置の維持。 初診時のリアルタイム事前相談や処方制限、高リスク医薬品(緊急避妊薬等)の対面限定など、患者の安全を担保するための予防的措置が維持されています。
  5. 海外患者向けサービスにおける複数法域の規制リスク。 日本から海外の患者へ遠隔医療を提供する場合は、日本の医療法規制だけでなく、患者が所在する国・地域の医療関連法、医薬品規制、プライバシー法等にも留意する必要があります。
記事全文はこちらから(英語)


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(執筆:美馬 拓也 ,木村 悠希


※本記事の内容は、一般的な情報提供であり、具体的な法的又は税務アドバイスではありません。
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美馬 拓也
東京国際法律事務所
takuya.mima@tkilaw.com

美馬拓也弁護士
M&A、戦略的提携、事業再編、クロスボーダー取引を中心とする企業法務において、10年以上の豊富な実務経験を有する。特にライフサイエンス・ヘルスケア分野に強みを持ち、医療法人、製薬・バイオ企業、ヘルスケア事業者に関する取引や規制対応、知的財産戦略に関して幅広く助言を提供。
医療法人およびヘルスケア分野のM&Aにおいては、医療法特有の「非営利性」の要件やガバナンス構造を踏まえた取引スキームの構築、知事認可等の複雑な行政手続への対応、さらには医療コンプライアンスや労務リスク、MS(メディカル・サービス)法人との取引実態を精査する法務デューデリジェンス(DD)の実施など、実務に即した戦略的なアドバイスを数多く手掛ける。
また、ライセンス契約や共同研究・開発契約などの知的財産関連取引、米国特許訴訟を含む国際的な知財紛争対応にも豊富な実績を有する。外資系製薬会社の法務部および大手メーカーの知的財産部門への出向経験を通じ、規制対応・知財管理・事業戦略を横断した実践的なリーガルサービスに定評がある。
ライフサイエンス、ヘルスケア、知的財産分野に関する執筆・講演実績も多数あり、医療法人のM&Aや関連する法規制に関する論考も積極的に寄稿している。

木村 悠希
東京国際法律事務所